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日本近代経済の父と呼ばれ、経済界教育界に数々の功績を残した渋沢栄一。2021年2月スタートの大河ドラマ「青天を衝け」の主人公です。
およそ考えられない程の功績を残した渋沢栄一、その心中には揺るぎない哲学がありました。
渋沢栄一の残した名言の数々を紐解き、その哲学に迫ってみたいと思います。
⇒渋沢栄一の人物像や功績を知りたい方はこちらの記事から先にご覧下さい。
Contents
渋沢栄一の名言集①:挑戦
「もうこれで満足だという時は、すなわち衰える時である」
渋沢栄一
数え七十歳の古希に達するまで、常に日本経済の為に最前線で働き続けた渋沢栄一。その生涯は挑戦の連続だったと言ってもいいでしょう。栄一の強い意志を支えたのが、この言葉に宿っているような気がします。「最高の自分は、常に未来に居る」そう思い続けて、明治という激動の時代を走り抜けたのではないでしょうか。
渋沢栄一の名言集②:独歩
「人は全て自主独立すべきものである。自立の精神は人への思いやりと共に人生の根本を成すものである」
渋沢栄一
最後の将軍・徳川慶喜に仕え幕臣となった渋沢栄一ですが、ヨーロッパ視察から帰国すると既に幕府は崩壊していました。静岡に居る慶喜を訪ねた栄一に、慶喜は「これからはお前の道を行きなさい」と諭します。慶喜からの言葉を嚙み締めた栄一は幕臣から一転、新政府の官僚となります。ここから栄一の大活躍が始まるのですが、その影には慶喜の「お前の道を行け」という言葉があったように思えてなりません。
渋沢栄一の名言集③:利道
「商売をする上で重要なのは、競争しながらでも道徳を守るということだ」
渋沢栄一
渋沢栄一は類まれな商才を有していましたが、決して銭ゲバではありませんでした。商人には商人の「道」がある。かつて、古代中国の哲人は「武人に武道が有り、聖人に聖道が有るように、商人にも利道というものがある」と説きました。利道を守る事こそ、商売における哲学であると栄一は実践したのです。
渋沢栄一の名言集④:知新
「全て形式に流れると精神が乏しくなる。何でも日々新たにという心がけが大事である」
渋沢栄一
変化を恐れるな、というのが渋沢栄一の哲学の一つだったのかも知れません。今有る前提を全て良しとせず、その前提が正しいかどうかを考えろ、と。故きを温ねて新しきを知る、温故知新の精神を常に持ち続けろと我々に教えてくれている気がします。
渋沢栄一の名言集⑤:待機
「どんなに勉強し、勤勉であっても、上手くいかないこともある。これは機がまだ熟していないからであるから、ますます自らを鼓舞して耐えなければならない」
渋沢栄一
商売である以上、当然上手くいかない場面も出てきます。渋沢栄一もそういった場面に何度となく出くわした事でしょう。そういった場面でも栄一は「腐るな」と自らを鼓舞し、前に進み続けていきました。人事を尽くして天命を待つ、ただひたすらに努力をしつつ機を待て、と。
渋沢栄一の名言集⑥:人事
「信用はそれが大きければ大きいほど、大いなる資本を活用することができる。世に立ち、大いに活動せんとする人は、資本を造るよりも、まず信用の厚い人たるべく心掛けなくてはならない」
渋沢栄一
商売は全て人の手に寄るもの、人に信用されなければ大きな仕事は出来ないという渋沢栄一の哲学が垣間見える言葉です。生涯に渡り500以上の企業の設立に関わった栄一ですが、栄一に融資投資をした人々は「渋沢栄一ならば」という事で納得したのでしょう。人に信用される事で大きな商売を生み出した栄一ならでは言葉です。
渋沢栄一の名言集⑦:敬天
「一人ひとりに天の使命があり、その天命を楽しんで生きることが、処世上の第一要件である」
渋沢栄一
尊王攘夷の志士たらんとして若い日々を過ごし、失敗の失意から立ち直って幕臣となり、幕府瓦解後は新政府の官僚となる。見方によっては渋沢栄一の生涯は「心ならずも、裏切りの連続」と見えてしまうかも知れません。今置かれている環境を天命として楽しめ。天を敬い、楽しむ事こそ、人生で一番大事な事なのだ。栄一はそう思っていたのではないでしょうか。
渋沢栄一の名言集⑧:報国
「たとえその事業が微々たるものであろうと、自分の利益は少額であろうと、国家必要の事業を合理的に経営すれば、心は常に楽しんで仕事にあたることができる」
渋沢栄一
如何にも「明治人・渋沢栄一」という言葉です。明治という小さな国家に参加した日本人達、国家と個人の距離が近かったからこそ持っていた「お国の為」という意思。自分達こそが国を作る礎というその矜持が、近代日本を作り上げていったのです。明治人達は「国があってこそ」という事を骨身に染みて判り抜いていたのでしょうね。
渋沢栄一の名言集⑨:巧言
「自分が信じないことは言わず、知ったからには必ず行うという思いが強くなれば、自然に言葉は少なく、行動は素早くなる」
渋沢栄一
人は、思ってもいない事や嘘をついている時の方が雄弁になるものです。渋沢栄一は数々の場面でそれを実感したのでしょう。本当に強い信念があり、かつそれを信じていれば、べらべらと弁解をするのではなく、即行動に移すはずだ、と。まさにその通りの言葉ですね。巧みな言葉には必ず裏がありますからね。
渋沢栄一の名言集⑩:至誠
「交際の奥の手は至誠である。理にかない調和がとれていればひとりでにうまくいく」
渋沢栄一
さきほどの言葉と同じような感じです。礼を尽くし、誠を尽くせば必ず相手に通じる、というのが渋沢栄一の哲学だったのではないでしょうか。「至誠、天に通ず」という言葉も有るとおり、交渉事は如何に誠を尽くすかというのが、最後の最後の一手だと思います。
渋沢栄一の名言集⑪:寛恕
「お前は自分の立場に忠実なのは結構だが、同時に恕、つまり相方の立場も理解してやるという広い気持ちを持たねば、世の中に円満に処していくことはできない」
渋沢栄一
商売において厳しい交渉をしなければいけない場面は多々有ります。そんな時、お互いに歩み寄って妥結点を見出さなければ交渉はまとまりません。妥結点を見出すには、相手も許し、自分も許し、お互いが「まとめよう」という気持ちを持つ事が不可欠です。ただし、相手が間違っている事しか言わない時はこの限りではありませんが。
おわりに:渋沢栄一の名言集、いかがでしたか?
渋沢栄一の名言、如何でしたでしょうか。
近代日本の礎の為に一生を捧げ、大小500に上る企業の設立に尽力した渋沢栄一。その中には、今日本を支えている企業も少なくありません。
渋沢栄一が残した企業とは、渋沢栄一が残した哲学そのものだったのかも知れませんね。