偉人たちの名言

【映画原作】司馬遼太郎『燃えよ剣』の名言17選【解説付きです!】

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新選組「鬼の副長」こと土方歳三の剣に生き、剣に死んでいった一生を描いた司馬遼太郎の不朽の名作『燃えよ剣』。

2021年10月には待望の映画化の封切りも待っています。

今回はその『燃えよ剣』の原作小説における名言を拾っていってみます。

Contents

【映画原作】司馬遼太郎『燃えよ剣』の名言①:百姓から武士へ

「そのとし、てのは、もうよそうじゃないか」

土方歳三(司馬遼太郎『燃えよ剣』より)

京に上った近藤勇を始めとする試衛館一派。

土方歳三は既に先を見据えていました。
郷里では大きく見えた近藤勇も、京の都では土臭く、人間が小さいく見えます。

土方歳三はまず「威儀いぎ」から正そうとしたのでした。

【映画原作】司馬遼太郎『燃えよ剣』の名言②:節義、とは

「あれは悪人だぜ」

土方歳三(司馬遼太郎『燃えよ剣』より)

将軍護衛の為、という目的で京に上った浪士組ですが、首魁の清河八郎はいきなり裏切り、浪士組を自分の私兵として反幕行動を開始しようとします。

ついこの間まで郷里で田舎くさい喧嘩に明け暮れており、時勢に全く疎かった土方歳三ですが、天賦の感と男くさい節義で清河を「悪人」と断じます。

オズ
オズ

土方歳三の才覚を感じる名言。
…迷いなく断言するところが格好いいですね!

【映画原作】司馬遼太郎『燃えよ剣』の名言③:最強の武装集団へ

「罪有るは斬る。怯懦きょうだなるは斬る。隊法を乱す者は斬る。隊の名を穢す者は斬る。これ以外に、新選組を富岳(富士山)の重きにおく法はない」

土方歳三(司馬遼太郎『燃えよ剣』より)

有名な「局中法度きょくちゅうはっと」を作り出す前に、土方歳三が近藤勇に心情を吐露した場面です。

この後、近藤勇が冗談めかして「もし俺がその四つに触れたら?」と聞くと、土方歳三は「斬る」と断言します。

そして、「その時は土方歳三の生涯も終わる。あんたの死体のそばで腹を切って死ぬ」と続けます。近藤勇もろとも生身の人間である事を捨て、隊の強化だけに一生を捧げようと誓ったのでしょう。

オズ
オズ

あの有名な「局中法度」を語る、まさに名言ですね…。
隊士にも自分にも厳しい土方歳三。相手が近藤勇でも例外ではなかったようですね。

【映画原作】司馬遼太郎『燃えよ剣』の名言④:近藤の矜持

 「いいな。たとえ新選組が虎口で全滅して、おれとお前とだけになっても、天子はまもりぬく」

近藤勇(司馬遼太郎『燃えよ剣』より)

長州軍が都に乱入した蛤御門の変、前夜。

近藤勇は天子を将棋に例え「玉だよ」「こいつは奪られちゃならねえ」と力説します。
多摩の百姓上がりの二人が、天子を背負ってでも長州から守り抜く。

これこそが、新選組局長近藤勇の矜持でした。

オズ
オズ

近藤勇の矜持と覚悟がうかがえる名言です。
これぞ真の侍といったところでしょうか。

【映画原作】司馬遼太郎『燃えよ剣』の名言⑤:一介の喧嘩師

 「私には一向に興味はありませんな」

土方歳三(司馬遼太郎『燃えよ剣』より)

参謀・伊東甲子太郎が合流して後、局長・近藤勇は時勢を論ずる論客と化したかのようになります。

近藤勇と時勢を論ずる伊東甲子太郎は土方歳三にも「この混沌とした京の政局を収拾出来るのは清濁併せのむ近藤先生のみ」と水を向けますが、土方歳三は上記のように返します。

あるのは男いっぴきだけ、(もともと俺は喧嘩師だからね)と一人微笑む土方歳三。
多摩の喧嘩師の本領発揮です。




【映画原作】司馬遼太郎『燃えよ剣』の名言⑥:郷里の評判

 「歳め。なんてえ真似しやがる」

茶店の主人・吉松(司馬遼太郎『燃えよ剣』より)

幕府・大御番組頭まで出世し、それにふさわしい姿となって、久々に江戸に戻った土方歳三。

途中立ち寄った茶店では「殿様」と呼ばれますが、実はこの茶店の主人・吉松は日野の生まれでした。
(どうも見た事ある顔だ)と思い、女房に尋ねると「大御番組頭で土方歳三とおっしゃるそうだよ」と答えが返ってきます。

バラガキだった頃の土方歳三を知っている吉松には、土方歳三がニセ旗本となって東海道を上下しているとしか思えないのでした。

【映画原作】司馬遼太郎『燃えよ剣』の名言⑦:剣の行く末

 (剣に生きる者は、ついには剣で死ぬ)

土方歳三(司馬遼太郎『燃えよ剣』より)

新選組を二つに割った伊東甲子太郎の離脱、そして暗殺。

伊東甲子太郎の死体を囮として、油小路の血闘が繰り広げられます。

伊東派では藤堂平助、服部武雄、毛内監物といった「一流の使い手」だけが闘死。
彼らは脱出しようとしても剣がそれを許さず、ひとりで動いては次々と敵を倒し、死地へ死地へとその持ち主を追い込んでいったのです。

 

オズ
オズ

元は同志だった仲間たち。その死に様を目の当たりにした土方歳三…。
彼らと同様、”剣に生きる自分”もいずれこうなるのだと悟ったのかもしれません。

【映画原作】司馬遼太郎『燃えよ剣』の名言⑧:目的は単純であるべきだ

 「しかし見ろ、この単純の美しさを。刀は、刀は美人よりも美しい。美人は見ていても心はひきしまらぬが、刀の美しさは、粛然として男子の鉄腸をひきしめる。目的は単純であるべきである。思想は単純であるべきである。新選組は節義にのみ生きるべきである」

土方歳三(司馬遼太郎『燃えよ剣』より)

大政奉還という大暗転を目の当たりにし、局長・近藤勇は動揺を隠せません。

新選組は今後如何に生きていくべきか。
近藤勇の思想はぐらつきます。

そんな折、土方歳三は愛刀・和泉守兼定を沖田総司に見せ、語ります。
新選組は「落日の幕府を助ける」という節義だけを守り通して戦い抜くべきだ、と。

【映画原作】司馬遼太郎『燃えよ剣』の名言⑨:開戦

 「まあ、首途かどでの祝い酒を汲め」

土方歳三(司馬遼太郎『燃えよ剣』より)

ついに始まった鳥羽伏見の戦い。
こののち、日本は戊辰戦争という泥沼の戦いに入っていきます。

新選組は最前線の伏見奉行所に配置され、目と鼻の先にある御香宮に布陣した薩摩軍と対峙します。

明治元年、正月の三日。
最初の銃声が響き、戊辰戦争の火ぶたが切られると、伏見奉行所に居た新選組も突出しようとします。
それらを押しとどめ、土方歳三が放った一言です。

オズ
オズ

どこか戦いを待ちわびていたようにも聞こえる名言ですね!

【映画原作】司馬遼太郎『燃えよ剣』の名言⑩:十番隊長原田左之助

  「聴け、いまから」「新選組千人が斬り込むぞ」

土方歳三(司馬遼太郎『燃えよ剣』より)

伏見奉行所前での戦い。
圧倒的な薩長軍の火力の前に、新選組・会津藩の連合軍は苦戦を強いられます。

土方歳三は夜を待ち、暗くなってからの白兵戦に勝機を見出そうとします。

やがて夜の帳が降り、暗くなって目標を見失った薩長軍の鉄砲は沈黙します。

土方歳三は十番隊長原田左之助を呼び、上記の言葉を怒号させました。
新選組が居る!恐怖した薩長軍は目標も見ずに乱射し始め、新選組はその発火の位置目掛けて次々と斬り込みを開始します。




【映画原作】司馬遼太郎『燃えよ剣』の名言⑪:近藤、投降

 「歳、自由にさせてくれ。お前は新選組の組織を作った。その組織の長である俺をも作った。京にいた近藤勇は、今思えばあれは俺じゃなさそうな気がする。もう解き放って、自由にさせてくれ」

近藤勇(司馬遼太郎『燃えよ剣』より)

鳥羽伏見で敗れ、甲州勝沼でも惨敗した新選組。

かつての二番隊長永倉新八、十番隊長原田左之助とも袂を分かち、下総流山に屯集した近藤・土方を新政府軍が囲みます。

錦旗に手向かう事を良しとせず、投降しようとする近藤とあくまで戦おうとする歳三は激論を交わします。
近藤は利き腕を掴んだ歳三の手を優しく撫で、上記の言葉を残すと一人新政府軍に投降して行きます。

【映画原作】司馬遼太郎『燃えよ剣』の名言⑫:一番隊長沖田総司

 「良くなれば庄内へ行きますよ。西から薩長の兵が来れば、私一人で六十里越えの小国峠でふせいでやります。そのときは、近藤さん土方さんも連れてゆきますよ」

沖田総司(司馬遼太郎『燃えよ剣』より)

隊を離れ、一人千駄ヶ谷の植木屋で療養していた沖田総司。
その沖田総司の元へ、姉のお光が訪ねてきます。

お光は夫・林太郎に従って出羽庄内へ行く事を告げます。
これを聴いた沖田総司は、弟を一人置いて庄内へ行く事に動揺する姉の気持ちを静めようと軽口を叩きます。

最後まで明るかった沖田総司。
不世出の天才剣士は姉お光が訪ねてきた一月後、その短い生涯を閉じます

【映画原作】司馬遼太郎『燃えよ剣』の名言⑬:わずか三十五年の短い人生を

 「やったよ、お雪」「いやなに。やったというのさ」

土方歳三(司馬遼太郎『燃えよ剣』より)

函館まで流れた旧幕府軍。
その土方歳三を、恋人・お雪がはるばる訪ねてきます。

死しか未来の無い土方歳三ですが、最後の安穏の時間を過ごします。

やがて土方歳三は、唐突にお雪に告げます。

十分に生きた。
俺の名は悪名として残る。
やり過ぎた者の名はすべて悪名として人々の中に生きるものだ。

戦うという事以外に目的を失った土方歳三の人生、その最後の日々が始まります。

【映画原作】司馬遼太郎『燃えよ剣』の名言⑭:常勝将軍

 「馬のわらじを損ずるだけだ。戦況に変化があればこちらから報せる。薩長は天下を取ったが、二股だけは取れぬと言っておいてくれ」

土方歳三(司馬遼太郎『燃えよ剣』より)

蝦夷地に上陸を開始した新政府軍。

函館政府軍は各地で敗れ、函館方面へ撤退を開始しますが、土方歳三がわずか一個大隊で守っていた二股峠だけは落ちません。

函館政府の総帥・榎本武揚は土方歳三を心配して毎日のように伝令を寄こしますが、土方歳三は「大丈夫だよ」としかいいません。

数多の戦いを駆け抜けてきた土方歳三は、今や函館政府軍における唯一の常勝将軍となっていたのでした。

オズ
オズ

「馬のわらじが勿体ない」なんて、いきなセリフですね…!
こういうところが、いちいち格好いいです。

【映画原作】司馬遼太郎『燃えよ剣』の名言⑮:喧嘩師として

 (彼らは降れ。俺は、永い喧嘩相手だった薩長に降れるか)

土方歳三(司馬遼太郎『燃えよ剣』より)

遂に五稜郭へと押し込められた函館政府軍。
もはや日本国中どこを探しても駆けつけてくれる味方も見当たりません。

その状況下、函館政府の要人達は「籠城」を主張します。
この籠城が降伏への予備活動と悟った土方歳三はただ一人「出戦」を主張します。

偶然にも官軍側も五稜郭総攻撃の日と決めていたこの日、土方歳三は少数を率いて出陣します。

出来れば喧嘩師らしく敵陣奥深くに入り、屍を前に向けて死にたい。
土方歳三の頭にはそれしかありませんでした。




【映画原作】司馬遼太郎『燃えよ剣』の名言⑯:吶喊とっかん

 「おれは函館へゆく。おそらく再び五稜郭には帰るまい。世に行き飽きた者だけはついて来い」

土方歳三(司馬遼太郎『燃えよ剣』より)

五稜郭からの味方の砲弾、函館方面からの新政府軍への砲弾凄まじく「その激闘、古今に類無し」といわれるほどの激戦になった両軍。

新政府軍は歴戦の薩長が中心であり、函館政府軍は徐々に押され気味になります。
もはや白兵突撃しか手が無いとみた土方歳三のこの言葉に引き寄せられるように、「世に生き飽きた者」が二百人ほど、隊伍も組まずに吶喊を開始します。

馬上、片手斬りで左右を薙ぎ倒しつつ進む歳三。
その姿は鬼としかいいようがありませんでした。

【映画原作】司馬遼太郎『燃えよ剣』の名言⑰:斬り込み

 「新選組副長土方歳三」

土方歳三(司馬遼太郎『燃えよ剣』より)

函館一本木関門付近、これ以上進めない函館政府軍を置いてただ一騎、土方歳三だけは進みます。

そこへ増援に駆け付けた長州部隊の士官が見とがめ、「いずれへ参られる」と問います。「参謀府へゆく」と歳三。
あるいは薩摩の信任参謀かと思った長州士官は「名は何と申される」と問います。

函館政府の陸軍奉行、とはどういう訳か答えたくなかった土方歳三。
「新選組副長土方歳三」と名乗ると、新政府軍は白昼に竜が蛇行するのを見たほどに仰天します。

「降伏の軍師ならば作法があるはず」と重ねて問いかける長州士官に対し、

「降伏? 新選組副長が参謀府に用がありとすれば、斬り込みにゆくだけよ」

と吐き捨て、土方歳三は馬腹を蹴って駆け抜けようとします。

おわりに:【映画原作】司馬遼太郎『燃えよ剣』の名言17選をお届けしました

『燃えよ剣』名言集、如何でしたでしょうか?

最後の場面で「新選組副長土方歳三」と名乗らせる事で、物語の結末を鮮やかに締めくくる司馬遼太郎の手腕に脱帽です。

今回ご紹介した名言はほんの一部です。ここにご紹介し切れなかった名言が綺羅星の如く散りばめられています。

是非とも、全文を読んでご自身の目で「名言」を確認頂く事をお勧め致します。